自己破産と仕事、自己破産による職業制限一覧と資格制限一覧
自己破産による職業制限一覧と資格制限一覧、自己破産の職業制限に影響されない仕事について解説しています。
自己破産の手続き開始から免責許可決定までの期間、職業制限されます。
制限を受けるのは、職業だけではありません。
自己破産したら一定の資格を得ることもできなくなってしまうことを覚えておきましょう。
とは言え、普通の職業なら問題ありません。
制限を受ける一定の資格とは、取締役や後見人といったものです。
こちらは民法上で制限を受けており、自己破産手続き期間中は資格を使うことはできません。
自己破産の職業制限一覧・資格制限一覧
自己破産によって制限される代表的な仕事は以下の通りです。
- 弁護士
- 司法修習生
- 弁理士
- 司法書士
- 土地家屋調査士
- 不動産鑑定士、不動産鑑定士補
- 公認会計士、公認会計士補
- 税理士
- 社会保険労務士
- 行政書士
- 中小企業診断士
- 通関士
- 外国法事務弁護士
- 宅地建物取引士
- 管理業務主任者
- 旅行業務取扱管理者
- 公証人
- 人事院の人事官
- 国家公安委員会委員
- 都道府県公安委員会委員
- 国際委員会委員
- 公正取引委員会の委員長及び委員
- 教育委員会委員
- 商工会議所会員
- 商工会の役員
- 商品取引所会員
- 商品取引所役員(理事長、理事及び監事)
- 証券外務員
- 持分会社(合名会社、合資会社又は合同会社)の社員
- 商品投資販売業
- 商品投資顧問業
- 金融商品取引業
- 証券金融会社の役員(取締役、会計参与、監査役又は執行役)
- 金融商品会員制法人の会員
- 信託会社
- 著作権等管理事業者の役員
- 地方公営企業等金融機構役員
- 沖縄振興開発金融公庫役員
- 信用金庫等の会員
- 信用金庫等の役員
- 社会保険審査会委員長及び委員
- 農水産業協同組合貯金保険機構運営委員会の委員
- 農水産業協同組合貯金保険機構運営委員会の役員(理事長・理事・監事)
- 市町村農業委員会の委員
- 漁船保険組合の組合員
- 漁業信用基金協会会員
- 船主相互保険組合の発起人、理事及び監事
- 日本銀行の役員
- 政策委員会審議委員
- 土地収用委員及び予備委員
- 都道府県公害審査会の委員
- 預金保険機構運営委員会委員
- 補償コンサルタント
- 貸金業者
- 貸金業務取扱主任者
- 貸金業者の政令で定める使用人
- 法人の場合の役員
- 割賦購入あっせん業者の役員
- 質屋
- 第三者発行型前払式証票の発行者の役員
- 生命保険募集人及び損害保険代理店とその役員
- 一般労働者派遣事業者とその役員
- 特定労働者派遣事業者とその役員
- 労働保険審査会の委員
- 港湾労働者派遣事業の事業主及び役員
- 港湾労働者雇用安定センターの役員
- 旅行業者
- 警備員
- 警備業者
- 警備員指導教育責任者等
- 不動産鑑定業者
- 不動産特定共同事業を営もうとする者
- 一般建設業、特定建設業
- 建築士事務所開設者
- 建築設備資格者
- 建築審査会の委員
- 建設工事紛争審査会の委員
- 測量業者
- 土地鑑定委員
- 地質調査業者
- 共同鉱業権者
- 下水道処理施設維持管理業者
- 公害等調整委員会委員長及び委員
- 風俗営業を営もうとする者
- 風俗営業の営業所管理者
- 風俗環境浄化協会の調査員
- 一般廃棄物処理業者及び役員又は政令で定める使用人
- 産業廃棄物処理業者及び役員又は政令で定める使用人
- 特別管理産業廃棄物処理業者
- 通関業者及び役員
- 鉄道事業者及び役員
- 索道事業者及び役員
- 宇宙開発委員会委員
- 卸売業者
- 塩製造業者及び法人の代表者
- 塩特定販売業者及び法人の代表者
- 塩卸売業者及び法人の代表者
- 製造たばこの特定販売業者及び法人の代表者
- 日本中央競馬会の経営委員会の委員
- 日本中央競馬会の役員(理事長、副理事長、理事及び監事)
- 地方競馬全国協会の運営委員会の委員
- 地方競馬全国協会の役員(理事長、副理事長、理事及び監事)
- 調教師、騎手
- 競馬の実施に関する事務の受託者及び役員
- 競輪振興法人の役員
- 小型自動車競走振興法人の役員
- 国際観光レストラン
- 有位者
- アルコール普通売捌人
- 科学技術会議議員
- 原子力委員及び原子力安全委員
- 宅地建物取引業
- マンション管理業
- 特定非営利活動法人の役員(NPO)
自己破産による民法上の職業制限・資格制限の一覧
- 取締役 (取締役の欠格事由ではない)
- 代理人
- 後見人
- 後見監督人
- 保佐人
- 補助人
- 遺言執行者
自己破産による職業制限・資格制限の期間
仕事・職業制限の期間は、破産手続開始決定から復権までです。
自己破産の復権とは、資格制限を解除して法的な地位を回復する制度です。
復権は、以下の場合は自動的に認められます。
- 免責許可決定の確定
- 破産手続同意廃止決定の確定
- 再生計画認可決定の確定
- 破産手続開始決定後に詐欺破産罪の有罪確定判決を受けることなく10年を経過した場合
上記に当てはまらない場合、例えば、自己破産を申し立てた後に中止して、借金を全額返済したようなケースでは、裁判所に復権を申し立てることになります。
復権までの期間は、それぞれの手続き完了までの期間ということになります。
一番早いケースで、3~6ヶ月程度が掛かります。
例えば、旅行業務取扱管理者の方が、自己破産して資格制限を受けた場合、免責許可が確定すれば、復権となります。
法律上の破産者状態から回復して、以前の仕事に就くことが可能になるわけです。
自己破産して資格制限を受けても、試験に合格したこと自体は取り消されません。
自己破産の職業制限に影響されない仕事
反対に勘違いされることの多い、自己破産しても制限を受けない資格・仕事もあります。
医師や看護師、または薬剤師といった、医療に関わる資格をお持ちの場合、影響は受けません。
このような資格の制限に関しては、あまり重大なデメリットではないという考え方もあります。
自己破産したからといって、何年にも渡って仕事や資格が制限されるわけではなく、手続き開始から免責決定までということもあり、該当する職種に就職しているという人以外は、極端に不安になる必要はないでしょう。
自己破産による職業制限・資格制限は停止であり剥奪ではない!
ここに紹介してきた資格への制限は、破産法によって定められているものでもありません。
これは、その仕事・資格、ひとつひとつに於ける法律が、自己破産者への立場を決定しているのです。
自己破産を終え、どうしても元の仕事で働きたいという人は、制限が解除されてから再び挑戦することもできます。
専門職の場合、資格制限を受けても、試験に合格している事実はそのままです。
会社の社長、取締役についても同様です。
破産法が改正される前は、自己破産をすれば、再度取締役になれないというような状況が生まれました。
しかし、現行ではそうではありません。
自己破産を経験し、その上で再度取締役として仕事をしている人も多いのです。
自己破産で職業制限される人は少ない!
仕事に対する資格制限は決して歓迎できるものではありませんが、そもそも比較的高所得な仕事が多いので、あてはまる方は少ないでしょう。
反対に、ここで紹介した職種に就かれている方はデメリットが大きいので、自己破産に次いで借金の減額幅が大きい個人再生などを選択する方が良いケースもあります。
いずれにしても、自己破産に詳しい法律事務所に相談する事をお勧めします。
債務整理の種類には、「自己破産」以外にも「任意整理」「特定調停」「個人再生」等があります。
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